株式会社ベルコン

ベルトコンベアに不具合が起きたときにまず検討すべきなのがベルトの交換です。実際にベルトの剥がれ・裂け・摩耗などがトラブルの原因になっているケースも少なくありません

この記事では、ベルトでよく起きる問題や交換手順、DIYで対応できる範囲や、専門業者へ依頼すべきケースを解説します。特に「ラインを止める時間を短くしたい」「自分で交換したいけど安全面が不安」という方にとって役に立つ内容となっています。

ベルトコンベアのベルトでよく起きる問題とは

ベルトコンベアにおいてベルトは、搬送物を連続して運ぶために欠かせない部品です。それだけに、ベルトの表面や内部に異常が出ると、搬送能力の低下だけでなく、蛇行・スリップ・荷こぼれ・ライン停止などの二次トラブルに発展しやすくなります。まずはベルト関連でどのようなトラブルが発生するのかについて見ていきましょう。

なお、以下の記事ではベルトコンベアが動かなくなった際の原因と対処法についてご紹介していますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。

【トラブル1】ベルトが剥がれる

ベルトの表面がめくれる、層状に剥がれて内部の帆布(ベルト内部の補強材)が見える状態がしばしば発生します。長期使用による劣化に加え、過度なテンション、異物の噛み込み、湿気や高温などの使用環境が重なると進行しやすくなります

剥離したベルトは強度が低下しているおそれがあるため、そのまま運転を続けるのは危険です。ベルトが破損してしまい、運転停止につながるリスクもあります。

【トラブル2】ベルトが裂ける、切れる

ベルトが裂ける・切れるといったトラブルは、プーリーとベルトの間への異物噛み込み、継ぎ目部の劣化、局所的な摩耗、過負荷運転などが原因として挙げられます

突然起きたように思えても、実は前兆があることが多いです。小さな裂け目でも放置すると走行中に一気に広がり、ライン停止や搬送物の落下につながります。目視だけでなく、接合部や端部まで確認することが重要です。

【トラブル3】ベルトが摩耗する

ベルト表面が削れて薄くなる、粉状・ささくれ状に傷んでいる状態は、単純な経年劣化だけでなく、蛇行やスリップが背景にあるケースが多いです

蛇行するとフレームや部材と擦れ続けて片減りし、スリップが起きると摩擦熱で表面が傷みやすくなります。摩耗は厚み低下とグリップ力低下を招き、動作不良や停止につながりかねません。特に厚みに左右差が出ている場合は、ベルトを交換するだけでなく原因確認が必須です。

ベルトに問題が起こる原因

ベルトの問題はベルト単体の寿命だけでなく、周辺の環境が影響している可能性もあります。テンションの過不足、異物噛み込み、清掃不足、プーリー・ローラー位置ずれ、フレームの歪みなどが挙げられます

特に蛇行やスリップは、ベルト交換後でもベルトコンベアそのものの問題や環境的な要因を取り除いていないと再発しやすいため、交換前に本当の原因を突き止めることが再発防止のポイントです。

ベルトの問題を放置すると起こるトラブル

ベルトの剥離・裂け・摩耗を放置すると、ベルトの交換だけでは済まないトラブルに発展しやすくなります。現場で特に注意したいのが、蛇行とスリップです。どちらも二次被害が大きく、停止時間と修繕範囲が広がりやすい点が共通しています。

【トラブル1】蛇行

蛇行とは、ベルトが左右どちらかに片寄って走行する現象です。「片寄り」ともと呼ばれ、放置するとベルトの摩耗・破損、荷こぼれ、ライン停止、さらには故障・火災・人身事故のリスクが高まります

原因は張力バランス不良、清掃不足による付着、プーリーやフレームの不具合など多岐にわたるため、蛇行が見られたらベルトコンベアをしっかりと点検しましょう。

蛇行については、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。

【トラブル2】スリップ

スリップは、プーリーが回っているのにベルトが十分に追従せず、噛み合いが弱くなる現象です。プーリーとベルトの動きが噛み合わなくなり空転してしまうと熱が生じ、故障や火災のリスクが高くなります

原因としてはラギング摩耗、テンション不足、過負荷などがあり、単純なベルト交換だけでは改善しないこともあります。

スリップについては以下の記事で詳しくご紹介しています。

ベルトの種類によって異なる対処法

コンベアベルトは大きく金属ベルト・樹脂ベルト・ゴムベルトに分けられ、それぞれ適した使用環境が異なります。樹脂ベルトは軽量・加工性が高く、小型設備で採用されやすいです。ゴムベルトは厚みと靭性があり、産業分野の重量搬送で主流となっています。金属ベルトは耐熱・衛生性・導電性が求められる工程で使われます。

特徴 用途
樹脂ベルトコンベア 軽量・薄手。柔軟性が高い。 食品工場やクリーンルーム
ゴムベルトコンベア 重厚・頑丈。摩擦や衝撃に強く、数トンの重量物も運べる。 砕石場、土木・建設現場、鉱山、製鉄所
金属ベルトコンベア 耐熱性・耐腐食性が極めて高い。 食品工場や電子部品、半導体の製造ライン

こうした違いは、トラブル時の対処法にも関わってきます。小規模な樹脂ベルトコンベアであれば、手順を守れば現場で交換できる場合があります。一方で、大型のゴムベルトや一部の金属ベルトでは、接合や長さ調整で「エンドレス加工(ベルトを輪状に接合する加工)」が必要になることがあり、施工品質が耐久性や平面性に影響します

コンベアベルトの素材については、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。

ベルト交換を行う方法

軽量で薄手の小規模コンベアであれば、作業条件が整っていれば自分でベルト交換できることがあります。ここからは初心者の方向けにベルト交換の流れをご紹介します。

ベルトコンベアの上からの図ベルトコンベアの下からの図

1.作業前の安全確認

最初に行うべきことは安全確認です。コンベアの運転停止、主電源の遮断、誤起動防止を必ず実施してください。特に複数人が出入りする現場では、作業中表示やロックアウト(誤って電源を入れられないようにする安全措置)を行わないと、本人が手を入れている最中に再起動される危険があります

2.駆動カバーを外す

モーターやプーリーを覆う駆動カバーを取り外し、内部の状態を確認します。このとき、削りカス・粉塵・油汚れが溜まっていれば、後工程の前に清掃しておきましょう。カバー内の汚れを残したまま交換すると、新品ベルトを取り付けても初期不良のような走行不安定が起きることがあります

3.ベルトのテンションを緩める

ベルトを安全に外すため、テークアップボルト(張力調整用ボルト)を使ってテンションを十分に緩めます。ここで無理に引き抜こうとすると、ベルト端部や周辺部品を傷める原因になります

4.コンベア周辺の部品を取り外す

ベルトを横から抜く構造の場合は、テークアッププーリー、スナブプーリー、リターンローラー、サイドガードなど、交換の障害になる部品を外しますコツは外した順番が分かるように管理することです。スマホで分解前後を撮影しておくと、初心者でも復元しやすくなります。

5.脚の取り付けボルトを外す

一体型のエンドレスベルトを交換する場合は、フレーム片側を浮かせるために脚の取り付けボルトを外す場合があります。この工程は、テンションが残っている状態で行うと危険です。必ずベルト張力が抜けていること、フレームが不意に動かないことを確認してから作業してください。

6.ベルトの交換をする

古いベルトを外したら、先にプーリーやローラー、フレーム接触部を清掃し、傷・異物・摩耗を確認したうえで、新しいベルトを通して所定位置に掛けますベルトによっては進行方向の指定があるため、表記や矢印の向きを確認してください。掛け終えたら脚や外した部品を戻し、仮固定まで行います。

7.芯出しと試運転

交換作業でもっとも差が出るのが芯出し(ベルトが中央を走るように調整する作業)です。低速回転させながら微調整していきましょう。左右のテークアップ調整を少しずつ行い、ベルトの片寄りを確認しながら修正します。いきなり本運転にせず、低速試運転→空運転確認→軽負荷運転の順で確認すると、再停止のリスクを下げられます

ベルト交換する際の3つの注意点

注意自分でベルト交換を行うと、外注費や段取り時間を抑えられる可能性があります。ただし、誤った方法で行うと事故や再発につながりかねません。特に以下の3点には注意しましょう。

【注意1】電源が切れている確認する

繰り返しになりますが、最重要ポイントは安全確保です。コンベアが停止していることに加えて、主電源が遮断され、第三者が誤って起動できない状態になっているかまで確認してください

作業者本人が「切ったつもり」でも、別系統から通電する設備構成があるため、現場ルールに従って確実にロックアウト・表示を行いましょう。

【注意2】適切なテンション調整をする

ベルト交換後の不具合の多くは、ベルトそのものではなくテンション調整ミスです。強く張りすぎるとベルトや軸受に負担がかかり、弱すぎるとスリップや蛇行を招きます。左右ボルトの締め込み量は、目分量ではなく、回転数やネジ山数、寸法で揃えるよう意識しましょう。交換前の位置を記録しておけば、初期調整の基準として使えます。

【注意3】清掃と異物確認をする

新品ベルトに交換しても、プーリーやフレームに削りカス・固着物・金属片が残っていれば、すぐに再摩耗や蛇行が起きることがあります。特に端部やプーリー周辺の小さな異物は見落とされやすく、走行ラインを狂わせる原因になります交換作業は清掃をして完了と考え、部品を戻す前に接触部・落下物・緩みを確認しましょう。

ベルト交換だけなら専門知識は不要

上記のように、小型・軽量の樹脂ベルトコンベアなど構造が比較的単純で作業空間が確保できる設備であれば、基本手順と安全確認を守ることで現場担当者がベルト交換できる場合はあります。

しかし、無理は禁物です。交換前に原因を究明し、重作業・接合作業・精密調整が必要なら専門業者に依頼することも検討してください

専門業者へ依頼した方がよい場合

重い・古い・止められない」という条件のいずれかに当てはまっている場合、停止リスクや再発リスクの方が大きくなります。最初から専門業者に依頼した方が安全です。

大型のゴムベルトコンベアを使っている

大型のゴムベルトコンベアはベルト自体が重く、取り回しだけでも危険を伴います。特に砕石・プラントなど重量物搬送で使われているような設備は張力や接合条件も厳しく、現場によってはエンドレス加工や専用機材が必要になるため、DIY交換はかなり難しいです

5~10年以上使用している

長期使用設備は、ベルトだけでなくプーリー、ローラー、ベアリング、フレームにも劣化が進んでいる可能性があります。ベルトを新品にしても、芯ズレや摩耗原因が残っていればすぐに再発してしまいかねません。特に「最近ベルト交換周期が短くなった」「何度も調整しても蛇行する」といった症状がある場合は、専門業者へ設備全体の点検を含めて依頼した方が確実です

24時間稼働の現場である

24時間稼働の現場では、停止時間の長さが大きな損失になります。慣れない作業で段取りが遅れたり、芯出しに時間がかかったりすると、想定以上にライン停止が長引くことがあります。さらに再起動後に再停止すれば、現場での負荷や損失が一気に膨らみます。最短復旧を優先する現場では、初動から専門業者を呼ぶのが合理的な判断になり得ます

専門業者へ依頼するメリット

専門業者専門業者に依頼する最大のメリットは交換作業が早くて確実なことだけではありません。原因の究明、適切な接合方法の選定、芯出し精度、再発防止提案まで含めて対応できる点に大きな価値があります。

正確な「芯出し」でベルトが長持ちする

ベルト交換後にもっとも差が出る工程は芯出しです。蛇行調整は、張力バランス、プーリー状態、ローラーの平行・通り芯、清掃状態など複数要因を見ながら進める必要があり、確認項目が多岐にわたります。専門業者は「どこを触ればどう動くのか」の経験値があるため、新品ベルトを無駄に削らず、寿命を伸ばしやすくなります。

最短で生産業務を再開できる

自力交換では分解手順の迷い、部品復元ミス、テンション再調整、試運転のやり直しで時間を浪費しやすいです。専門業者は交換だけでなく、事前段取り・必要工具・想定不具合まで織り込んで作業に入るため、最良の手順で再開までスムーズです。ライン停止コストが高い現場ほど、「作業費」に見合った価値が得られます。

異物混入のリスクを抑えられる

自力で金具接合や接着補修を行う場合、接合部材や施工不良が後にトラブルの種になることがあります。特に、搬送物の品質管理が厳しい現場では、適切な接合方法を選べる業者施工の安心感は大きいです

再発防止や今後の運用提案を受けられる

専門業者は「交換して終わり」ではなく、なぜ剥離・裂け・摩耗が起きたのか、原因を設備側も含めて特定します。たとえば、テンション管理の頻度、清掃方法、交換サイクル、予備ベルトの保管状態など、再発防止の提案を受けられる点は大きなメリットです

特に、原因不明の再発を繰り返している現場では、交換作業そのものはもちろん、根本的な原因が改善できるという点も大きな強みとなります。

ベルトコンベアのトラブルにお悩みなら

ベルトコンベアのベルトは、搬送品質・安全性・稼働率を左右する重要部品です。剥離・裂け・摩耗が見つかったときは、ベルト交換だけで直るのか、蛇行・スリップ・周辺部品不具合まで見直すべきかを検討することが重要です。無理に自力対応すると、停止時間や修繕範囲が広がることがあります。原因がわからない場合は、ベルト交換だけでなく設備全体を見られる専門業者に相談するのが近道です。

株式会社ベルコンではベルトコンベアの修理・補修・メンテナンスまで対応いたします。しっかりと原因を特定して、再発しない対策と運用のご提案が可能です。「自分で交換できる規模か判断したい」「一度直したのに再発した」「ラインを止める時間を最小限にしたい」とお困りの際にはぜひご相談ください。

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