私たちはベルトコンベアを導入いただいたお客様、あるいは導入を検討されている方からさまざまなお問い合わせをいただきます。製品の性能や仕様に関してはもちろんですが、意外と多いのは耐用年数や勘定科目、原価処理に関する質問です。特に経営者の方にとっては大きな関心ごとといえます。
そこで、今回はベルトコンベアの耐用年数や勘定科目など、会計に関する情報をお送りします。導入前にご一読いただくことで、会計処理のヒントになれば幸いです。
目次
耐用年数とは
耐用年数とは税務用語の一つで、減価償却資産が使用に耐えられる年数のことを指します。わかりやすくいえば「寿命」です。減価償却資産には建物や設備、機械、あるいは家具や宝飾品などさまざまなものがあり、国税庁が品目ごとに耐用年数を定めています。
たとえば普通自動車(新車)は6年が耐用年数です。6年くらい乗り続けるとそろそろ故障や痛みが出てきて修理や整備が必要になり、資産としての価値が失われてくることから、この年数が設定されています。
ベルトコンベアの耐用年数
ベルトコンベアの耐用年数は用途によって異なるので一概にはいえません。たとえば食料品工場で使用するベルトコンベアは「食料品製造業用設備」に該当し、耐用年数は10年となります。採石現場や砂利採集現場で使用する場合は「鉱業、採石業又は砂利採取業用設備」という扱いになり、耐用年数は短めの6年です。鉄鋼メーカーで使用する場合は「鋼鉄業容設備」に該当し、14年となります。
このように、同じベルトコンベアでも、「何に使うか?」によって耐用年数は大きく異なるのです。
【豆知識】勘定科目とは
勘定科目とは簿記の用語のことで、取引の内容を分類するために使われる、「見出し」のようなものです。たとえば、自動車を維持するためにはガソリン代や車検代、整備費や部品代、自動車税や重量税など、さまざまな費用がかかります。これらを「車両関連費」という勘定科目でひとくくりに分類することで、「車にどれだけの経費がかかったのか?」がわかりやすくなるのです。
ベルトコンベアは「機械装置」という勘定科目が該当します。機械装置には他にもブルドーザーやクレーン、パワーショベル、工作機械、コンプレッサなど、さまざまなものが含まれます。
その機械装置の中でもさらに細かい分類があり、前述のとおり設備の種類によって耐用年数は大きく変動します。
設備の種類 | 耐用年数 |
---|---|
食料品製造業用設備 | 10 |
プラスチック製品製造業用設備 | 8 |
ゴム製品製造業用設備 | 9 |
鉄鋼業用設備 | 14 |
金属製品製造業用設備 | 10 |
その他の製造業用設備 | 9 |
鉱業、採石業又は砂利採取業用設備 | 6 |
総合工事業用設備 | 6 |
倉庫業用設備 | 12 |
運輸に附帯するサービス業用設備 | 10 |
上図は、ベルトコンベアにおいて該当する可能性のある設備の種類と耐用年数を抜粋したものになります。 その他に類するものもあると思いますので、一覧は以下からご覧ください。
参照:東京都主税局「機械及び装置の耐用年数表」
耐用年数はなぜ必要なのか
事業に必要な備品を購入した場合、それを経費として計上することができます。たとえば1,000円のものを購入したら1,000円を経費として計上するというように、基本的には全額計上することになるのですが、10万円以上の高額な物品は「減価償却資産」という扱いになり、数年に渡って減価償却費として計上します。
耐用年数は減価償却の年数を算出する際に必要となります。たとえば新車の普通車を購入した場合は耐用年数が6年間なので、6年かけて減価償却し、その間経費に計上することができます。
機械装置の減価償却
ベルトコンベアを含め機械装置に分類されるものを減価償却する場合は、複数の方法を選択することができます。ここからは機械装置の減価償却の方法についてそれぞれ詳しくご説明しますので、自社に合ったものを検討してみましょう。
総合償却
複数の減価償却資産をグループでまとめて減価償却する方法です。「ベルトコンベア」「工作機械」というように減価償却資産ごとに耐用年数に応じて減価償却するのが基本ですが、特に大規模な工場や掘削現場などでは個々の減価償却資産ごとに減価償却を行うと計算が非常に複雑になってしまいます。
そこで、「工場のラインや現場で使われているすべての機械や設備をひとまとめにして減価償却をしてしまおう」というのが、総合償却の考え方です。前述のとおり、食品工場のラインで使われている機械や設備は「食料品製造業用設備」、砕石現場で使われている重機や機材は「鉱業、採石業又は砂利採取業用設備」として減価償却できます。
機械装置の一部の除去
総合償却では減価償却資産をひとまとめにして減価償却する方法ですが、未償却残高がわからないという難点があります。この状態で一部の資産を除去した場合は、除去した価格をどう計算するか?が課題となります。
そこで、「機械装置の一部の除去」という処理を行います。基本的には個々の資産の取得額と平均耐用年数から未償却残高を算出する「未償却残高方式」がとられます。他にも「未償却残高除去方式」や「配賦簿価法」という方法をとることもできます。
機械装置の特別償却
これは租税特別措置法で定められた特例措置です。通常の減価償却の損金算入枠とは別に、取得時に取得価格の一定割合の金額を経費として計上することができます。故に、機械装置を購入して特例償却を行えば、翌年の納税額を抑えることが可能です。ただし、それ以降は減価償却費が減るので注意が必要です。
一括償却
一括償却とは3年間で減価償却を行うことを指します。前述のとおり10万円以上の物品を購入した場合は減価償却資産に該当し、耐用年数にもとづいて減価償却しなければなりません。ただし、20万円未満のものに関しては3年間の一括償却が認められています。
一括償却を行うことで、減価償却費が大きくなり納税額を減らせる、取得価格を3等分するだけなので減価償却費の計算がしやすくなるなどのメリットがあります。
少額減価償却
こちらは中小企業向けの特例措置です。平成18年4月1日から令和6年3月31日までに取得した資産で、取得価格が30万円未満のものであれば、減価償却ではなく全額をその年の経費に計上することができます。この措置を使うことで、やはり資産を購入した翌年の納税額を減らすことが可能です。ただし、前述のとおり中小企業のみが使える制度であり、要件に該当しない場合は利用できません。
会計処理方法
ベルトコンベアを購入した際には、「機械装置」として取得原価を借方に記帳して資産計上を行います。取得原価には購入代金のほか運搬費、据付費用、手数料など、購入・設置に要した費用を含めることができます。
翌期以降は決算ごとに減価償却処理を行います。なお、前述のとおり、同じ機械装置でも用途によって耐用年数は異なります。東京都主税局が発行する「機械及び装置の耐用年数表」に耐用年数が記載されているので、これに基づいて処理していく必要があります。
ベルトコンベアの実際の寿命
ベルトコンベアの耐用年数は用途で異なりますが6~14年ということになっています。冒頭でも述べたとおり、耐用年数は簡単にいえば「寿命」ということになりますが、これはあくまでも会計上の話です。普通車の耐用年数は6年ですが、メンテナンスさえしっかりしていれば10年、20年と乗り続けることもできます。
ベルトコンベアの実際の寿命は一概に「**年」とはいえません。稼働時間や使用状況、運搬重量などで変わってくるからです。しっかりとメンテナンスさえ行っていれば、耐用年数よりも大幅に長持ちすることもあります。逆にハードな使われた方をされていたりメンテナンスが適切に行われていなかったりした場合は、耐用年数よりも短い期間で故障してしまうケースもあるかもしれません。
長持ちさせるためには定期的な点検とメンテナンスが必須です。毎日稼働させる場合は毎日始動前に、頻度が低くても1~2週間に1回は点検を行いましょう。
まとめ
今回はベルトコンベアの耐用年数や減価償却の方法など、会計にまつわる情報をお届けしました。どの分類の耐用年数を適用するか、どのような方法で減価償却するかは、会社の状況によって異なるため、実際に会計処理をされる際には税理士に相談されることをおすすめします。
株式会社ベルコンはベルトコンベアのトータルサポート会社です。高品質で安価なベルトコンベアを設計から製造まで責任をもって対応し、メンテナンスに関してもお任せいただけます。
ベルトコンベアの導入を検討されている、コンベアベルトを探している、使われているベルトコンベアに問題があって困っているということであれば、株式会社ベルコンにご相談ください。
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