株式会社ベルコン

ベルトコンベアにはプーリーと呼ばれる部品が必要不可欠です。トラブルが発生しないように、スムーズに物が運搬できるように、プーリーにはさまざまな工夫が施されています。また、幅広い種類があり機長や運搬物などに応じて適したものを選ぶことが大切です

この記事ではベルトコンベアを扱う上で知っておきたいプーリーの基礎知識をお送りします。

ベルトコンベアのプーリーとは

プーリーとはベルトからの動力を伝達するための円盤状の部品のことです。滑車というとわかりやすいかもしれません。ベルトコンベアだけでなく自動車のエンジンや農機具、コンプレッサー、ポンプ、OA機器など、さまざまな装置に使われています。

ベルトコンベアはドライブプーリーが回転することでコンベアベルトが動きます。ただし、ドライブプーリーが回るだけではベルトがうまく進行しません。反対側にもプーリーにベルトを巻き付けることで、スムーズに物が運搬できるようになるのです。詳しくは後述しますが、他にもベルトを引っ張ったり進行方向を変えたりする役割をもつプーリーがあります。

プーリーがなければベルトコンベアは作動できません。それくらい重要な部品なのです。

プーリーの構造

プーリーの構造

ベルトコンベアのプーリーはシャフト(軸)、軸受、鏡板(側板)、ボス、シェル(外輪)という部品で構成されています。ベルトコンベアを作動させるとシャフトが回転し、軸受がシャフトが正しい位置になるよう支えます。さらに、ボス、鏡板に動力が伝わり、外輪が回転することでコンベアベルトが動いて物を搬送できるようになるのです。

ベルトコンベアをずっと作動させているとコンベアベルトとプーリーとの間にずれが生じてしまうことがあります。そこで、シェルの部分に以下のような加工を施すこともあります。


ずれ防止のクラウン加工

クラウン加工

クラウン加工とは外輪の中央部の径を両端よりも大きくする加工のことです。ワインを熟成させる樽を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。中央部と両端の直径差があることで回転速度に差が生じ、コンベアベルトには中央に寄ろうとする力が働きます。これをクラウン効果と言い、プーリーの外輪にクラウンを設けることで、ベルトのずれや片寄りを防ぐことができるのです。

ただし、クラウンが施されているから完璧というわけでもありません。ベルトコンベアを使用しているとどうしても居着きが発生して片寄りが生じることがありますので、定期的な点検とメンテナンスが必須です


スリップ防止のライニング加工

ベルトコンベアで使うプーリーの外輪には表面をゴムで覆うライニング加工を施します。これによってプーリーとコンベアベルトの摩擦係数が高くなり、ずれやすべりを防ぐことができます。またプーリーを破損や摩耗から守ることにもつながります。自動車のタイヤには溝がありますが、ライニングの表面にも同様に溝を掘ります。


スパー型

スパー型

横に溝が入っているタイプです。主に動力源となるドライブプーリーのライニングに施されることが多いですが、摩擦係数を得るためにテールプーリーなどの従動プーリーにも使われることがあります。プーリーとベルトの摩擦を強くすることができるため、機長が長いベルトコンベアや正逆運転を頻繁に行う場合に適しています


ダブルヘリカル型

ダブルヘリカル型

ダブルヘリカル型では中央に向かって溝が斜めに施されています。スパー型と同様にドライブプーリーに施されるケースが多いです。ベルトとの摩擦力を増す効果が高いのはもちろん、異物が入り込みにくいという利点もあります。特に機長が短いベルトコンベアの場合、クラウン加工に匹敵するほどの蛇行防止効果があります。一方で、正逆運転には向いていません。


ダイヤカット型

ダイヤカット型

その名のとおりダイヤ型(ひし形)に溝が施されています。ダブルヘリカル型と同じように、摩擦力が大きく異物を掻き出す効果があり、主にドライブプーリーに使用されます。ベルトと接するゴム面積が大きくなるため、大きな面圧に耐えることも可能です。また、ダブルヘリカル型では対応が難しい正逆運転にも適しています


プーリーの種類

ベルトコンベアのプーリーにはさまざまな種類があり、それぞれに役割があります。ここからはプーリーの種類とそれらの役割について見ていきましょう。

プーリーの配置

ヘッドプーリー

ベルトコンベアには頭部(駆動側)と尾部があります。ヘッドとは頭という意味で、ヘッドプーリーとはその名のとおりベルトコンベアの頭部にあるプーリーのことを指します。ヘッドプーリーが下記のドライブプーリーになっているケースも多いです

ドライブプーリー

ドライブプーリーとはコンベアを駆動させるプーリーのことで、これが回転することでコンベアベルトが動きます。前述のとおりヘッドプーリーがドライブプーリーになっているのが一般的ですが、ヘッドプーリーとドライブプーリーが別になっているベルトコンベアもあります

テールプーリー

テールとは尻尾という意味で、ベルトコンベアの尾部にあるプーリーのことを指します。動力源となるドライブプーリーとは対象的な存在で、テールプーリーは滑車のような役割を果たします。両者があるからこそ、コンベアベルトが正常に作動します。

テンションプーリー

コンベアベルトを引っ張って張力を維持するためのプーリーです。テークアッププーリーとも呼ばれます。テンションが適正でないと蛇行や片寄りが発生するため、こちらも非常に重要な役割を果たします

ベンドプーリー

ベルトの進行方向を変えるためのプーリーです。張力を保ったまま進行方向を変えるためには必要不可欠な存在です

スナブプーリー

コンベアベルトの巻き付け角度を調整・維持するためのプーリーです。ヘッドプーリーあるいはテールプーリーの巻き付け角度が浅いとベルトが空回りしてしまうことがありますが、これを防ぐためにスナブプーリーで巻き付け角度を増す必要があるのです

プーリー点検の重要性

前述のとおり、プーリー自体にもコンベアベルトの蛇行やずれ、片寄りが出ないように、あるいはプーリーが破損しないように、さまざまな工夫が施されています。しかし、定期的な点検やメンテナンスは必須です。

ライニングの劣化やプーリーの摩耗を見逃しているとコンベアベルトが正常に作動しなくなる、トラブルが発生してラインが停まってしまう、事故や火災が発生するなど、さまざまな弊害が生じるおそれがあります

毎日稼働させる場合は毎日始業前に、2~3日に1回作動させるのであれば週に1回、週1~2の作動頻度であれば2週に1回はベルトコンベアの点検を行いましょう。

ベルトコンベアのプーリーでお悩みなら

今回、ベルトコンベアのプーリーの役割や種類についてご説明しました。非常に重要な部品であることがおわかりいただけたかと思います。プーリーの選定にお悩みの方、求めているものが規格品で見つからなくてお困りの方は、株式会社ベルコンにご相談ください。

弊社はベルトコンベアの設計からメンテナンスまで対応している、ベルトコンベアのトータルサポート会社です。プーリーやコンベアベルトなどの部品に関しても幅広く取り扱っており、特注品の対応も可能です。ぜひ、メールやお電話にてお気軽にお問い合わせください。

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