株式会社ベルコン

工場や倉庫、現場に欠かせないベルトコンベアですが、一歩扱い方を間違えれば重大な事故につながるため、細心の注意を払わなければなりません。残念ながら実際にベルトコンベアの事故で大怪我をされてしまった方、命を落とされてしまった方もいらっしゃいます

この記事ではベルトコンベアによる事故の実態や原因、安全対策のポイントを解説します。今一度、自社のベルトコンベアを点検し、運用方法についても見直してみましょう。

ベルトコンベアの労働災害の実情

労働安全衛生総合研究所が発行した『労働安全衛生研究』の論文「コンベヤを対象とした労働災害分析-労働損失日数の活用によるリスクの定量的評価-」によると、日本ではベルトコンベアに起因する死亡事故が年間14件、4日以上の休業を要する事故が1,216件発生しているそうです(平成20~22年間の平均値)。

しかし、あまり報道されることはなく、さまざまな業種で事故が発生しているため、その実態はあまりよく知られていません。しかし、ベルトコンベアを使用する際には事故と隣り合わせであることを意識しておく必要があります。

 

事故原因となった作業の割合

ベルトコンベアの事故はさまざまな場面で発生しています。もっとも多いのは「引っかかった搬送物や異物を取り除こうとしたとき」で、死亡事故、休業4日以上の事故ともに2割程度を占めています。ついで「清掃のために近づいたとき」が11.9%(休業4日以上の事故)、「保守・点検・修理のために近づいたとき」が7.2%、「荷積み、荷降ろし、荷の移動等で近づいたとき」と「調整のために近づいたとき」が3.7%、「落下した搬送物や工具を拾おうとして」が2.9%、「位置ずれを直したり、位置を揃えようとして」が2.3%となっています。

事故要因となった作業はさまざまですが、特筆すべきはトラブル対応などイレギュラーな作業時に発生している傾向が高いということです。

※引用:「労働安全衛生研究所」コンベアを対象とした労働災害

 

業種別の事故発生割合

休業4日以上の事故が発生している割合がもっとも高い業種は食料品製造業で23.7%、ついで木材・木製品製造業が9%、清掃・と畜業が6.5%、商業が5.9%、窯業土石製品製造業が5.5%、鉄鋼業が2.7%、鉱業が3.1%となっています。

死亡事故の場合は窯業土石製品製造業がもっとも高く21%、ついで清掃・と畜業が12.6%、鉱業が11.4%、鉄鋼業が8.4%、木材・木製品製造業が7.8%、食料品製造業が3%、商業が1.2%という結果となっています。

どのような業種であってもベルトコンベアを使用する以上は事故が発生するリスクがあることを肝に銘じておくことが大切です。

※引用:「労働安全衛生研究所」コンベアを対象とした労働災害

ベルトコンベアの破損

以上のようにベルトコンベアになんらかのトラブルが発生した際に事故が起きるケースが非常に多いです。トラブル時には普段行わない・慣れていない行動が求められます。また、焦りや動揺など平常時とは異なる精神状態に陥るため、判断を誤ったり安全確認が不十分になってしまったりするリスクも高いです。

事故を防ぐためにはベルトコンベアのトラブルを防ぐことが重要といえます。ここからは代表的なトラブルの例とその原因を見ていきましょう。

 

【case1】火災

駆動プーリーとベルトの間にスリップが発生する、回転体の動作不良が発生する、ベルトが蛇行してフレームなどに接触する、粉塵がローラースタンドやダストパンに堆積するなどして発熱した結果、火災が発生することがあります。また、火気をともなう現場の場合、他の箇所からの引火もあり得ます。

 

【case2】荷こぼれ

プーリーやローラーへの異物の噛み込み、ローラーやベルトの破損、スカートゴムへの搬送物の噛み込みといった原因で荷こぼれが発生します。また、搬送物を変更した際に荷こぼれが起きることもあります。

 

【case3】詰まり

ローラーやシャフトの破損、フレームの変形、ローラーの傾きなどによって詰まりが発生する可能性があります。

 

【case4】裂傷

搬送物に鋭利な物体が含まれているとベルトが縦に引き裂かれてしまうことがあります。また、スリップの発生、カバーゴムや帆布の摩耗や損傷などによってベルトが切断されてしまうことがあります。

安全対策のための基礎知識

「労働安全衛生規則」

(掃除等の場合の運転の停止等)
第107条 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な個所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りではない。

(非常停止装置)
第 151 条の78 事業者は、コンベヤーについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置(第 151条の 82 において『非常停止装置』という。)を備えなければならない。

(荷の落下防止)
第 151 条の79 事業者は、コンベヤーから荷が落下することにより労働者に危険を及ぼすおそれがあるときは、当該コンベヤーに覆い又は囲いを設ける等荷の落下を防止するための措置を講じなければならない。

(点検)
第 151 条の82 事業者は、コンベヤーを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を行わなければならない。
(1) 原動機及びプーリーの機能
(2) 逸走等防止装置の機能
(3) 非常停止装置の機能
(4) 原動機、回転軸、歯車、プーリー等の覆い、囲い等の異常の有無

ベルトコンベアの非常停止装置

上記の労働安全衛生規則第 151 条の78ではベルトコンベアに「非常停止装置」の設置が義務付けられています。その名の通りベルトコンベアで事故やトラブルが発生した際に作動を止めるための装置で、コンベアの隣に張り巡らされたワイヤーを引くことで、ベルトコンベアを停止させることができます。いざというときのために、非常停止装置の使い方を必ずマスターしておきましょう。また、コンベアの周辺で作業をする際に非常停止装置を作動させておけば、予期せぬコンベアの作動を防ぐことができます。

ベルトコンベアの点検ポイント

厚生労働省ではベルトコンベアによる悲惨な事故を防ぐために、「コンベヤの安全基準に関する技術上の指針」というガイドラインを公表しています。ベルトコンベアを導入する際、あるいは使用する際には必ず確認しておきましょう。

また、厚生労働省北海道労働局安全課・各労働基準監督署ではベルトコンベアを安全に使用するためのチェックポイントをわかりやすくまとめています。

  • 回転部分には覆い等が設けられ固定されているか
  • 非常停止スイッチは有効に作動するか
  • 昇降設備、手すり等には著しい腐食、損傷等はないか
  • コンベヤーからの運搬物の落下防止がされているか
  • 関係者以外が立ち入ることを禁止する措置はとられているか
  • 危険個所を絵表示等で明確にしているか
  • 起動スイッチに機械を停止した場合の誤操作防止用の表示はあるか

厚生労働省ではベルトコンベアによる悲惨な事故を防ぐために、「コンベヤの安全基準に関する技術上の指針」というガイドラインを公表しています。ベルトコンベアを導入する毎回ベルトコンベアを作動させる前には、上記を抜け・もれなくチェックしてください。

ベルトコンベアのトラブルはご相談ください。

毎年ベルトコンベアで悲惨な事故が発生しており、その多くは破損などのトラブルが起因しています。毎回稼働する前にかならず不具合がないかを確認し、ご自身や作業員の方の大切な生命を守りましょう

ベルトコンベアにトラブルが発生している場合は株式会社ベルコンにお任せください。弊社はベルトコンベアの製作からメンテナンスまでトータルでサポートしており、しっかりと原因を追求して正常に作動するよう修理・メンテナンスいたします。事故を未然に防ぐために、ベルトコンベアの作動に違和感があれば、お早めにご相談ください

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