ベルトコンベアを使用していると、「気づいたら搬送物がこぼれていた」「荷こぼれが何度対策しても再発する」といったトラブルに悩まされている現場も多いのではないでしょうか。
荷こぼれは原因が一つとは限らず、ベルトの状態・積載方法・設備の劣化など複数の要素が絡み合って起こるケースがほとんどです。そのため、原因を正確に把握しないまま対処しても、同じトラブルが繰り返されてしまいます。この記事では、荷こぼれが発生する原因から設備・運用それぞれの防止策、実際にこぼれが起きたときの対処法まで順を追って解説します。

ベルトコンベアの荷こぼれとはどういう状態?

ベルトコンベアの荷こぼれとは、搬送中の荷物がベルトの側面や末端から落下したり、外部へ流出したりしている状態のことを指します。 荷こぼれが起きると、搬送物の損失による経済的なダメージ、清掃作業のための稼働停止など、生産性に対する影響は決して小さくありません。発生原因は、ベルトの状態、積載方法、設備の劣化、異物の付着など複数の要素が絡み合って起こるケースがほとんどです。そのため、「とりあえず対処する」のではなく、まず原因を正確に把握したうえで、適切な対策を講じることが重要です。

ベルトコンベアで荷こぼれが発生する原因

ベルトコンベアで荷こぼれが発生する背景にはさまざまな要因があります。機械的な不具合から運用上のミスまで幅広く、複数の原因が重なって起こることも少なくありません。
以下では、代表的な原因を4つに分けて解説します。

1.ベルトの蛇行

ベルトの蛇行とは、ベルトが走行中に左右どちらかへ片寄ってしまう現象です。蛇行が進行すると、端部がフレーム等と接触し、摩耗によって荷こぼれが発生します。さらにベルトの破損、荷こぼれの慢性化、場合によっては火災や人身事故などの重大なリスクに発展する可能性もあるため、早期発見・早期対処が肝要です。

2.ベルトの摩耗・破損

ベルトは長期間の使用や高負荷の搬送によって徐々に摩耗し、表面が薄くなったり、ひび割れや剥離が生じたりします。摩耗が進むとベルト表面のグリップ力が落ちて搬送物が滑りやすくなり、端部や傾斜部分から荷こぼれが発生する可能性があります。さらに破損を放置すると、ベルトに穴や裂け目ができ、そこから細かい粒状の搬送物や粉体がこぼれ落ちることがあります。
ベルトの摩耗・破損は一度発生すると急速に進行するケースが多いため、定期的な状態確認が不可欠です

3.異物の付着

搬送物の残留物や粉塵がプーリー・ローラーに堆積すると、ベルトの走行が不安定になり蛇行やスリップを招きます。
また、またリターン側(戻り側)への搬送物の付着を放置すると、落下やローラーへの巻き込みによってベルトを傷める原因にもなります
こうした異物の蓄積を防ぐためにも、日常的な清掃と定期的なメンテナンスが重要です。

4.積載方法の不備

積載量がベルトの許容範囲を超えると両端から搬送物があふれ、積載位置が偏るとベルトの重量バランスが崩れて蛇行を誘発します。搬送物の種類や形状が変わったタイミングは特に注意が必要です。特に扱う搬送物の種類や形状が変わったタイミングでは、以前の運用ルールがそのまま適用できないケースがあるため、新しい搬送物に合わせた積載量・投入位置の見直しを必ず行いましょう。

ベルトコンベアの荷こぼれを事前に防ぐには

前述の通り、荷こぼれにはさまざまな原因があり、それぞれ異なるアプローチが必要です。
むやみに対策をとるのではなく、まず「どこで・なぜ荷こぼれが発生しているのか」を正確に把握することが、効果的な防止策につながります

たとえば、蛇行が原因なのにベルト交換だけで対処しても、蛇行の根本原因が残っている限り再発します。荷こぼれを再発させないためには、原因の特定 → 適切な設備・部品による対策 → 運用ルールの見直し → 定期的なメンテナンスという流れで包括的に取り組むことが大切です

ベルトコンベアのこぼれ防止策

こぼれ防止策は大きく「設備・部品による対策」と「運用・メンテナンスによる対策」の2つの視点から考えることができます。
それぞれの特徴と具体的な方法を見ていきましょう。

                

設備・部品による対策

荷こぼれを物理的に防ぐためには、専用の設備や部品を活用するアプローチが有効です。
現在使用しているベルトコンベアへの追加・改造で対応できるものもあれば、ベルト自体を専用品に交換することで解決できるものもあります。
搬送物の種類や搬送経路の条件に合わせて最適な選択肢を検討しましょう。

荷こぼれ防止用のベルトを選ぶ

荷こぼれを根本的に防ぐためには、使用するベルト自体をこぼれが発生しにくい専用品に変えることが最も確実な方法のひとつです。
代表的なベルトとして、以下の3種類が挙げられます。

サイドウォールベルトコンベア

サイドウォールベルトコンベアサイドウォールベルトとは、ベルトの両側面に波型の壁(サイドウォール)を設けたベルトコンベアです。このサイドウォールがコンベアのガイドとして機能し、急傾斜での搬送においても搬送物が側面からこぼれ落ちるのを物理的に防ぎます。バラ物・小物・かさ物・粉体など幅広い搬送物に対応しており、急角度搬送でも安定したパフォーマンスを発揮します。メンテナンス性にも優れており、こぼれ防止のための実用性が高いベルトとして広く活用されています。

パイプベルトコンベア

パイプベルトコンベアパイプベルトコンベアは、ベルトをパイプ(円筒)状に丸めて搬送する構造のコンベアです。搬送物がベルトの内側に完全に包まれた状態で運ばれるため、風や振動による粉じんの飛散や落粉を大幅に低減できます。搬送経路を3次元に曲げて配置できる柔軟性も持ち合わせており、建屋内の複雑なレイアウトにも対応可能です。石炭・石油コークス・石灰石・木質チップなど、発塵が問題となる素材の搬送に特に適しています。また、リターン側もパイプ化することで落粉量を削減でき、清掃作業の軽減にもつながります。

パッケージベルトコンベア(ラフトップベルト)

パッケージベルトコンベアパッケージベルトコンベアは、ベルト表面に凸凹(メッシュ・網目)状の特殊パターンを施したベルトコンベアです。この表面パターンがすべり止めとクッション材の両方の効果を発揮するため、傾斜がある搬送ラインでも搬送物が滑り落ちることなく安定して搬送できます。段ボール箱などの箱物や重さのある製品の傾斜搬送に特に効果的です。また、表面の凸凹が衝撃や振動を吸収・緩和するため、割れやすい製品の搬送にも向いています。

荷こぼれ防止用のアタッチメントを追加する

荷こぼれ防止用のアタッチメント既存のベルトコンベアを大幅に変更せずに、アタッチメント(追加部品)を取り付けることで荷こぼれを防ぐ方法もあります。代表的なアタッチメントとして「インパクトバー」と「スカートゴム」の組み合わせが挙げられます。インパクトバーは、投入口部分でベルトに材料が落下する際の衝撃を"面"で受け止め、ベルトのたわみを軽減する緩衝材です。ローラーで荷重を受ける従来方式と異なり、ベルトとスカートゴムの間に隙間が生じにくくなるため、そこからのこぼれを防止できます。スカートゴムは、インパクトバーと組み合わせて使うことで効果を最大化できる部品で、キャリアローラーやトラフの角度に沿った形状に成形されています。ベルト両側面を密閉することで、シュート部分での落鉱・粉じんの発生を防ぎます。このように、ガイドやスカートゴム、緩衝材などのアタッチメントを組み合わせることで、搬送物が投入される瞬間の衝撃を吸収し、隙間からの直接的な荷こぼれを防ぐことができます

ベルコンではスカートゴムの販売も行っています。詳細は以下よりご確認ください。

マルチプライスカートラバーボード

蛇行の自動修正装置を導入する

蛇行が荷こぼれの主な原因となっている場合、蛇行を自動的に検知・修正する装置の導入が効果的です。
蛇行自動修正装置は、ベルトの走行方向や片寄り状態をリアルタイムで検知し、ベルトを自動的に中央へ戻す仕組みを持っています
この装置を導入することで、オペレーターが常に監視・調整する手間が省けるうえ、蛇行に起因する荷こぼれやベルトの摩耗を大幅に低減できます。特に長時間の連続稼働や自動化ラインにおいては、その効果が顕著に現れます。

ベルトクリーナーを設置する

ベルトクリーナーとは、ベルトコンベア本体に事前に取り付けておき、稼働中に自動でベルト表面の汚れを落とし続けるための設備です。
ベルトに張り付いて残った搬送物や汚れを、スクレーパーなどで物理的にかき落とす仕組みとなっています。ベルトクリーナーを設置することで、蛇行やスリップの問題を根本から抑制できます。また、ベルトリターン側の清潔さを保つことで、ローラーへの搬送物の巻き込みも防止でき、設備全体の長寿命化にもつながります

ベルコンではベルトクリーナーの販売も行っています。詳細は以下よりご確認ください。

ポリウレタンベルト付きコンベアベルトクリーナー電動ブラシクリーナー

運用・メンテナンスによる対策

設備や部品を整えるだけでなく、日々の運用方法とメンテナンス体制を見直すことも、荷こぼれ防止に欠かせません。
こうした「人的・運用的な対策」は、設備投資と組み合わせることでその効果をさらに高めます。

適切な張力管理と芯出しを行う

ベルトの張力(テンション)が不適切であることは、蛇行やスリップの主な原因のひとつです。
張力が弱すぎるとベルトがたるんでスリップが発生し、強すぎるとベルトやプーリー・ベアリングに過剰な負荷がかかります
ベルトコンベアのテークアップボルトを使って定期的に張力を確認し、左右均等かつ適切なテンションに調整することが重要です。
また、芯出しも定期的に実施しましょう。芯出しが不十分だとベルトが片側に偏り、蛇行・荷こぼれ・端部摩耗が連鎖的に発生します。プーリーやローラーが平行・水平に設置されているか、接合部に歪みがないかなど、複合的な確認が必要です。

積載位置と積載量の管理を行う

前述の通り、搬送物の量が多すぎたり、ベルトの中央に積載されていなかったりすると荷こぼれが発生しやすくなります。
自社内で積載位置と積載量の基準を明確に定め、運用ルールとして徹底することが重要です。特に、搬送する品物が変わったタイミングは要注意です。形状・重量・粒度が変わると、以前の基準がそのまま通用しない場合があります。 新しい搬送物に合わせてシュートの位置や角度、投入速度などを再調整し、ベルトの中央に均等に積載されるよう設定し直しましょう

定期的な清掃と部品交換を行う

ベルトクリーナーを設置していたとしても、長年の使用による汚れの蓄積は避けられません。また、目視では確認しにくいベルト内部やローラー端部の劣化なども、気づかないうちに進行していることがあります。定期的な清掃を実施し、ベルト・ローラー・プーリー・スカートゴムなどの部品を計画的に交換することで、荷こぼれの発生リスクを最小限に抑えることができます。「トラブルが起きてから対処する」のではなく、「トラブルを起こさないための管理」を行うことが、現場の安全性と生産効率を高めます

荷こぼれが発生したときの対処法

実際に荷こぼれが発生してしまった場合には、正しい手順で対処することが重要です。焦って再稼働させると被害が拡大したり、二次事故が発生したりするリスクがあります。
以下の5つのステップで、落ち着いて対応しましょう。

1.コンベアの運転を停止し、清掃する

荷こぼれを発見したら、まず速やかにベルトコンベアの運転を停止してください。
主電源が確実に遮断されているか、誤って再起動されない状態になっているかを確認したうえで、こぼれた搬送物の清掃を行います。清掃の際は、ベルト上だけでなくローラー・プーリー周辺・フレーム内部にも残留物がないか確認しましょう。これらを取り除かないまま再稼働すると、新たな摩耗や蛇行の原因になります。また、周辺の清掃まで徹底して行うことが大切です。

2.ベルトのダメージ具合を確認する

清掃が完了したら、ベルト自体に損傷がないかを目視で確認します。
表面の摩耗・剥離・ひび割れ・裂け目などの有無をチェックし、特にベルトの芯が見えるほど深い傷がある場合には注意が必要です。芯が露出しているベルトは強度が大幅に低下しており、そのまま運転を再開すると走行中にベルトが破断するリスクがあります。こうした状態が確認された場合は、単純な調整だけでなく、ベルトの補修または交換が必要です。端部のほつれや接合部の浮きなど、見落としがちな箇所も含めて丁寧に確認しましょう。

3.荷ぼれの原因を特定する

ベルトの状態を確認したうえで、荷こぼれがどこに起因しているのかを特定しましょう。
確認すべきポイントは主に以下の通りです。

  • ベルトの蛇行・偏走が起きていないか
  • プーリーやローラーに異物が付着・堆積していないか
  • ベルトの張力(テンション)が適正範囲か
  • 積載位置や積載量が基準からずれていないか
  • スカートゴムやシュートの密閉性に問題がないか

原因が一つとは限らないため、複合的な視点で調査することが重要です。

4.原因ごとに的確な調整や補修を行う

原因が特定できたら、それに応じた処置を施しましょう。
蛇行が原因であれば、テークアップボルトによる張力の再調整や、プーリー・ローラーの平行・水平の確認と修正を行います。スカートゴムやシュートの隙間からのこぼれであれば、スカートゴムの密着度を高めるための調整や交換が必要です。積載位置や積載量の問題であれば、投入位置・量を適正値に戻すことが根本的な解決につながります。異物付着が主因の場合は、ベルトクリーナーの設置やローラー・プーリーの徹底清掃を行いましょう。処置後は必ず試運転を行い、荷こぼれが解消されているかを確認してください。

5.専門業者に相談する

自社での点検・調整によっても荷こぼれが解消しない場合、あるいは機体に歪みが生じている場合や原因の特定が難しい場合は、速やかに専門業者に相談しましょう。特に大型のゴムベルトコンベアや特殊ベルトを使用している場合、経験や専門知識がない状態での調整は問題をさらに悪化させる可能性があります。場合によっては、ベルトコンベアの破損だけでなく、人的な事故につながる危険性もあります。専門業者は荷こぼれの原因を設備全体として捉え、根本的な問題解決と再発防止のための提案まで行います。「自社で何度も調整しているが繰り返し発生する」「荷こぼれの原因がわからない」という場合にこそ、専門家の知見を借りることを検討してください。

こぼれ防止対策と定期メンテナンスを行いましょう

ベルトコンベアの荷こぼれは、現場の生産性を低下させるだけでなく、安全面や環境面でも深刻な問題を引き起こします。一時的に荷こぼれを収めることができても、原因を解消しなければ必ずまた同じ問題が再発します。大切なのは、「こぼれが発生してから対処する」という受け身の姿勢ではなく、原因に合わせたこぼれ防止策の実施と定期メンテナンスを継続的に行い、トラブルを未然に防ぐ仕組みを構築することです。設備・部品による物理的な対策と、運用・メンテナンスによる日常管理の両輪を回すことで、現場の安全性と作業効率は大幅に向上します。
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