株式会社ベルコン

トンネルの掘削現場では、限られた空間で大量の土砂をいかに効率よく搬送・運搬するかが大きな課題となります。従来の工法に比べて掘削スピードや作業の安全性、省力化の飛躍的な向上に貢献してきたのがベルトコンベアの技術です

この記事では、特にトンネル工事の現場でよく使われる「延伸・連続コンベア」にフォーカスし、その特徴やメリット、最新技術について詳しくご紹介します。

従来のトンネル工事

かつてトンネル工事では、掘削した土砂を一時的に台車やダンプトラックへ積み込み、トンネル外まで運搬するという方法がとられていました。 狭い坑内ではスペースが限られるうえ、搬送経路の確保や排気・換気などの問題が多数存在し、車両でピストン輸送を行ったとしても搬出できる量には限界があります。また、作業員による土砂の積み込みや積み下ろしに時間と手間がかかり、それが工期の長期化や作業コスト増大につながってしまうという課題もありました。 トンネル工事の現場では、安全性や効率面での改善が長年求められていたのです。

画期的だった「延伸・連続コンベア」

移動するベルトの上に運搬物を乗せることで搬送するベルトコンベアの技術はトンネル工事における土砂の運搬工程を大きく変革しました。その中でも注目されたのが、坑内の掘削進度に合わせてコンベア全体を連続的に延伸できる「延伸・連続コンベア」です。

従来の車両や人力による断続的な運搬方法とは異なり、掘削現場から坑外までを一本のベルトがつなぐことで、土砂の連続搬送が可能となりました。その結果、省力化や作業速度の向上はもちろん、安全管理面や作業環境の改善にも大きく寄与し、トンネル工事の常識を変えたといわれています。

延伸・連続コンベアとは

延伸・連続コンベアはトンネルの掘削作業の進捗に合わせて、ベルトコンベア全体を伸ばしていき、途切れることなく土砂を搬送し続けられる搬送装置です。

一般的には駆動モーターやプーリ、フレームなどで構成され、台車と連結することでトンネル内の進行方向に合わせて自在に設置できます。掘削地点から排土地点までの運搬ルートをスムーズに確保し、工期短縮や安全性向上に寄与しているのです

さらに、土砂の搬送を連続的に行うことができるため、作業員の負担や坑内の交通渋滞が減り、効率の高いトンネル施工を実現できます。

以下で延伸・連続コンベアの特徴やメリットを見ていきましょう。

 

工期短縮

掘削した土砂を即時に連続搬送することで、作業時間が大幅に削減されます。台車やトラックでのピストン輸送と比べ、積み込みや積み下ろしの手間も少なく、トンネル全体の工程をスピーディに進められます。その結果、全体的な工期短縮が実現できるのです。

 

経済性

断続的に運搬車両を投入する従来方式においては、膨大な燃料費とドライバーの人件費がかかります。コンベアは一度設置すると後は駆動部のエネルギーだけで土砂を搬送できるため、ランニングコストを抑えることが可能です。作業人員の削減や燃料費の減少に伴い、トータルの施工費用を低減させる効果もあります。

 

安全性

トンネル内の掘削作業は暗く狭い空間で行われるため、安全管理が非常に重要です。延伸・連続コンベアを使えば、重機や車両、人の往来を低減できるため、接触事故や荷崩れなどのリスクを下げられます。また、作業員が土砂に直接触れる機会も軽減できるため、安全性の向上に寄与します。

 

CO2発生量の低減

車両によるピストン輸送ではCO2が大量に発生します。延伸・連続コンベアで連続的な搬送を電力駆動で行うことで、車両の排ガスや化石燃料の使用量を抑えることが可能です。さらに、作業回数そのものが減少するため、総合的にCO2排出量の低減につながります。環境負荷軽減の観点からも、延伸・連続コンベアは注目されています。

 

トンネル内の粉じん・騒音などの坑内環境の改善

大型車両の往来が少なくなることで、粉じんや排気ガス、振動、騒音などの発生が抑えられ、作業員の身体への影響やストレスが軽減、より快適な労働環境が実現できます。健康面のリスクやメンテナンス負担を軽減し、安全かつ効率的な作業体制を確立できるのです。

 

二次運搬や捨土、盛土の作業効率が向上

延伸・連続コンベアならトンネル内から坑外へ連続して土砂を運び出せるため、捨土や盛土への受け渡しもスムーズです。中間地点での荷下ろしが減ることで、積み替えや運搬ルート変更の手間も軽減されます。その結果、二次的な運搬作業においても大きな効率アップにつながります。

 

トンネル線形の変化に対応

延伸・連続コンベアは、トンネルの勾配や曲線に合わせて柔軟にレイアウトが可能です。組立時には台車を活用してコンベアを移動させ、駆動装置を段階的に追加・調整できるため、さまざまな地形や線形のトンネル工事で重宝されています。

延伸・連続コンベアの仕組み

延伸・連続コンベアは、掘削に合わせてフレームを追加し、ベルト部分を継ぎ足していくという構造になっています。駆動部は複数のモーターやプーリによって構成され、必要に応じて増設することで、常に適切なトルクとベルト速度を保つことができます。土砂を載せるベルトは、トンネル内の急勾配やカーブを通過しても安定して搬送され、最終的には地上まで一直線で運び出されます。

また、延伸作業を効率化するために、組立用の台車が用意されているケースも多く、掘削の進捗状況に合わせながらコンベアを延ばし続けられます。こうした特徴をもつ延伸・連続コンベアがトンネル工事の生産性を劇的に向上させているのです。

進化していくトンネル工事

延伸・連続コンベアの普及によって、トンネル工事は大きく効率化を遂げてきました。近年では、さらに先進的な技術を組み合わせることで、人手不足や安全性の課題を解消し、環境負荷をより低減できる方向へと進化しています

作業員にかかる負担を減らし、かつ高品質な施工を目指すため、遠隔操作や自動化技術の導入も活発に行われているのです。ここからは延伸・連続コンベアの最新の技術を見ていきましょう。

 

遠隔式の延伸・連続コンベア

掘削箇所付近に作業員が直接立ち入らずに、遠隔からコンベアを制御できるシステムが注目されています。モニターやセンサーによってベルトの状態や搬送量、駆動ユニットの動作状況などをリアルタイムで監視し、必要に応じて速度調節や停止を遠隔操作で行う仕組みです。これにより、作業員の安全を確保すると同時に、人手不足という課題の解決にもつながります。

さらには蓄積したデータをもとにAIを活用した故障予知や効率的なメンテナンス計画を立てる試みも進んでおり、トンネル工事の自動化が一層加速していくのではないかと期待が寄せられています。

 

作業性を考慮した延伸・連続コンベア

延伸作業そのものを簡略化したタイプのコンベアも次々に開発されています。たとえば、フレームや台車部分をモジュール化し、迅速に組み立て・解体が可能な設計を採用するなど、現場作業の負担を大幅に低減する工夫が取り入れられています。

さらに、ベルトの交換や摩耗部品のメンテナンスが容易な機構を取り入れることで、作業効率と安全性を両立することができます。こうした改良により、より複雑なトンネル線形や長大トンネルにもスムーズに対応できるようになってきているのです。

トンネル工事に使用するベルトコンベアならお任せ

延伸・連続コンベアの導入には、駆動装置の選定や台車設計、現場レイアウトの最適化など、多岐にわたる専門知識やノウハウが必要です。

コンベアの設計から施工、メンテナンスまで、トータルプロデュースを手掛ける株式会社ベルコンでは、数多くのトンネル工事現場にベルトコンベアをご提供してきた実績がございます。長年培ってきた知識と技術を駆使し、掘削条件や運搬距離などの要件を踏まえ、最適な設計プランをご提案いたします。

工期短縮やコスト削減、そして何より安全性を最優先に、トンネル工事がスムーズに進むよう全力でサポートいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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